レポート 2012 SciFinder Future Leaders in Chemistry



次世代を担う学生たちと創る情報科学の未来

誕生以来,科学情報データベースをリードし続けてきた CAS.
その CAS が世界中から優秀な大学院生を招待し情報科学について語り合うプログラムが 3 年目を迎えた.


写真,CAS 本部前
世界 12 カ国から選ばれた 15 名の大学院生がコロンバスにある CAS 本部に集結
進化し続ける CAS の歴史

 CAS(Chemical Abstracts Service オハイオ州コロンバス)が今年 8 月に開催した SciFinder Future Leaders in Chemistry プログラムは,世界中から選出された大学院生が化学と情報について情報交換する短期集中プログラムだ.3 年目となる今年は,昨年の 2 倍,世界から数百の応募があった.多くの学生がこのプログラムに注目する理由は,現代の化学の研究領域において,CAS が極めて重要な存在となっているからに他ならない.

学生の独創性を生かす

写真,ディスカッションの様子1 写真,ディスカッションの様子2
 参加学生からの自己紹介
 CAS スタッフと忌憚のない意見交換
写真,ディスカッションの様子3 写真,リラックス
 数人のチームに分かれ,与えられたテーマを議論する
 参加者同士がランチでリラックス

 科学情報データベースの世界を切り拓いてきた CAS.その使命は,科学技術の進歩のために,これからも進化し続けていくことにある.CAS のマーケティング部門の最高責任者であるクリスティン・マッキュー氏は「本プログラムは,学生と CAS が化学情報の動向に関する情報を交換し,世界中の研究者のニーズを探る,大変有意義で貴重な機会です.参加する学生の功績とリーダーシップは素晴らしく,それを反映させて SciFinder Future Leaders in Chemistry とプログラムの名称を今年から変えました.まさに彼らは化学分野における未来のリーダーですから」と話す.
 プログラムでは,まず CAS スタッフからプログラムの概略や 100 年以上にわたる CAS の歴史についての説明があり,さらに信頼性と利便性を両立したデータベースがどのように構築されるかについてプレゼンテーションが行われた.
 2 日目のグループセッションでは,学生たちが日々の研究に利用している SciFinder についてディスカッションを行い,未来の SciFinder について話し合った.検索方法や出力形式から画面デザインまで,学生たちの意見に CAS スタッフは真剣に耳を傾け,率直な質疑応答がくり返された.これらのディスカッションは,CAS スタッフにとっては,ユーザビリティや品質を向上させていくための大きなヒントとなったであろう.
 このプログラムで学生たちは,CAS データセンターの見学も許され,膨大な,データベースがどのように守られているかセキュリティシステムについても学んだ.

若い研究者のネットワークが誕生

写真,オハイオ州立大学見学の様子1 写真,スタジアム見学の様子
 オハイオ州立大学の見学
 有名なフットボールスタジアムを訪問

 プログラムには,教育・研究機関,科学博物館などの見学も含まれており,その訪問先の一つにオハイオ州立大学がある.ここは 1909 年から 1965 年まで CAS の編集部門が置かれるなど,いわば CAS 発祥の地でもある.参加者の一人で同大学大学院の学生でもあるジョーダン・ペイジさんが学内を案内することで学生たちの間によりリラックスした雰囲気が生まれた.また,あわせて訪問した TechColumbus は,最先端の研究からベンチャー企業を生み出すインキュベーター(起業支援組織)だ.優れた研究の産業化には,戦略的な特許戦略が欠かせず,CAS が提供する SciFinder や STN などがフル活用されていることに,学生たちはここでも新鮮な興味を持ったようだった.

 プログラムの終了後,学生たちは約 1 万 2000 人の化学者が参加する「米国化学会第 244 回大会」に参加.各領域の最新情報を得ると共に,世界中の化学者の最新の発表を聴く機会を得た.若い研究者にとって雑誌でしか知らない著名な学者の講演は感動的であり今後の研究の励みとなることは疑いない.1 週間にわたるプログラムを共に過ごした 15 名の絆は今後もソーシャルネットワークサービスなどで交流関係を続けていくであろう.今回生まれた若きグローバルネットワークから新たな化学が誕生することを期待したい.


写真,米国化学会第244回大会展示会場の様子
 米国化学会第 244 回大会展示会場
プログラムのもう一つの特典は米国化学会年会への参加.米国だけでなく世界の化学者から数えきれない発表が行われる.

科学情報データベースと産業技術との深い関係を実感

写真,深澤亮さん

深澤亮さん
東北大学大学院生命科学研究科で,天然有機化合物を対象に実用かつ高効率な化学合成法などについて研究している.



 今回 Battelle 記念研究所や TechColumbus などの施設を訪問し,科学技術とビジネスの架け橋を行う事業を知りました.特許を扱い,利害が生じるような場面では情報検索が極めて重要であることも認識しました.普段利用する情報検索では,研究に関連した論文を探し出すことが多いのですが,このプログラムを通して,科学情報検索はアカデミックにおける研究を推し進めるだけでなく,産業においても重要な役割を担っているということを知り,その利用価値の高さを改めて実感しました.



※深澤さんへのインタビュー記事は化学情報協会のウェブサイトをご覧ください.
http://www.jaici.or.jp/SCIFINDER/jirei/sflc3.html

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