SciFinder ユーザーインタビュー

電子情報の有用性を知り,図書館長として活躍
  • 繊維学部正門前
    繊維学部正門前
  • JAICI:先生は,大学院を卒業後,一度は企業に就職されました.
  • 太田先生:私は大阪大学で有機金属錯体の液晶研究で博士号を取得したのち,電機メーカーの総合研究所で働きはじめました.丁度その頃,化学同人から出ている雑誌「化学」に掲載された,「長鎖を有する金属錯体」という東京大学工学部の吉川貞雄先生らが執筆した短いレビュー記事(*1)を,たまたま読む機会がありました.そこで私は自分の研究の例を挙げて,このような研究もありますのでぜひ引用してくださいと吉川先生にお手紙を書いたのです.すると会社に吉川先生から電話がかかってきて,面白い研究なのでぜひ話をしにきてくださいと言われました.そうした縁で,吉川先生から,ポストを用意できる大学があるからそこで研究を続けたらどうかとお誘いいただき,当時新設されたばかりの信州大学繊維学部機能高分子学科の助手になったのです.
  • (*1) 宮村一夫,吉川貞雄,化学36,1020-1023 (1981).
  • JAICI:それ以来,信州大学でご活躍されているのですね.
  • 太田先生:そうです.当時,機能高分子学科教授だった松崎啓先生のもとで,再び有機金属錯体の液晶研究を続けさせていただきました.
    着任した1980年代前半のころ,論文を書く際に苦労していました.化学情報を調べる手段としてChemical Abstractsの冊子体が一般的でしたが,それを使って調べていると,求める情報を探すのに1ヶ月は簡単にかかっていました.一方,当時の東京大学にはすでにCAS ONLINE(※)が導入されており,それを使うと,わずか1~2時間で調べられることを知りました.大学が学術研究活動を行うに当たり,こうした学術情報基盤の充実は不可欠です.これからの時代は地方大学でも積極的に情報インフラを整備しなければと思い,私は興味を持って電子図書館について勉強するようになりました.
    時代は移り,1990年代後半になると,電子ジャーナルやウェブ上の情報検索システムが一般的になりました.信州大学の全学図書館で図書館長をされていた先生も「これから大学が生き残るために必要なのは,紙ではなくて電子の情報だ」とのお考えを持っており,私にぜひ手伝ってほしいとのお話をされまして,それを機に,電子ジャーナルやSciFinderの導入に尽力することとなりました.

    (※)CAS ONLINE:電話回線で使う,コマンド入力によるCASデータベースの検索システム
  • JAICI:SciFinder 導入後の評判はいかがでしたか.
  • SciFinderの導入を検討するにあたり,検索ツールというものの必要性を学内に理解してもらうことに苦労しました.「そんなことに予算を割くなんて」「電子ジャーナルを入れるのならSciFinderは我慢したらどうか」とも言われました.しかし,研究者にとって,電子ジャーナルとSciFinderのような検索ツールは,いわば車の両輪であり,片方だけでは使い物になりません.そこで私はYahoo!やGoogleを例に出し,インターネット上にさまざまな情報があってもこうした検索ツールがなければ知りたい情報にはたどり着けない,SciFinderはそういう役割のものだと説明し訴え続けて,ようやく理解を得られたという経験があります.
    SciFinderを導入できたときは,学内の評判がとてもよかったです.導入当初はSciFinderの同時アクセス数が少なかったのでとても混み合ってしまい,朝の5時に来ないとつながらないこともよくありました.現在は自由にアクセスできるようになり,学生も教員も快適な環境でSciFinderを使用しています.