SciFinder ユーザーインタビュー

2015年11月掲載 

SciFinder からオンリーワンを世界に発信

渡辺化学工業株式会社
代表取締役社長 渡邉路維さん
総務部 学術情報課 石川さん
総務部 学術情報課 堤さん
研究開発部長 築城さん

集合写真
渡辺化学工業株式会社の皆様

アミノ酸およびアミノ酸誘導体を中心とした試薬の製造・販売を行う渡辺化学工業株式会社の皆様に,SciFinder のカタログ情報への登録の効果や,SciFinderのご活用方法について伺いました.
アミノ酸誘導体から,医薬品原料への参入

  • JAICI:渡辺化学工業の沿革や概要について教えてください.
  • 製品写真
  • 渡邉さん:弊社の創業は170年前の1845年,薬種商としてスタートしました.戦前まではこの業態を続けた後,4代目社長の頃からソルビン酸カリウムなどの食品添加物や合成保存料の取り扱いを始めました.この背景には,戦後の当時はまだよい冷蔵庫がなかったため,食品の長期保存への需要が大きかったことがあります.やがて時代が進むにつれて食の安全が叫ばれはじめ,化学調味料や添加物全般に対する風当たりが強くなり,需要は減少していきました.
    そんな中,京都大学やマウントサイナイ医科大学でペプチドやアミノ酸の研究をしていた現会長(渡邉英彦さん)が,恩師からそれ自体をビジネスにしてはどうかと薦められた事と,欧米では既にビジネスとして展開されていた事を目の辺りにして、将来性に確信を持ち、新業務に加えた事がきっかけとなりました.その頃はまだ,ペプチドやアミノ酸試薬を取り扱う企業が日本には少なかったこともあります.現在は,一部のペプチドを除いて,ほぼアミノ酸とアミノ酸誘導体の製造販売に特化しています.
  • JAICI:近年は医薬品原料の供給も開始されたそうですね.
  • 光によるタンパク質ラベル化
    図 光によるタンパク質ラベル化が可能な試薬も販売中
  • 渡邉さん:昨今はペプチド医薬市場が拡大傾向にあり,試薬を提供している顧客企業から,「スケールアップしてほしい」という要望が増えてきています.弊社の試薬を使って開発を進めた以上,できればスケールアップ後のプロセスで試薬会社を変えたくないと以前から言われていました.生産能力の限界から断っていたのですが,例えば希少疾病用の薬剤などですと,年間で多い量は必要ありません.そこで,我々としても積極的に手がけていくことにしました.既に第3相臨床試験を通過して申請待ちの薬剤もあります.現在,医薬品原料は弊社の売り上げ比率で8%ほどですが,2020年にはこれを25%まで増やすことを目標にしています.2017年には医薬品原料の製造も可能な新工場を稼動させる予定です.
SciFinder を通じて自社製品を世界に発信

  • JAICI:SciFinderのカタログ情報掲載サービス (CHEMCATS) (※) への登録を決めた理由を教えてください.
  • 渡邉さん:弊社の強みは,ご要望に応じてワンストップで試薬を提供できる点にあります.ですので,まずはカタログ商品を知っていただき,そこから受託生産などにつなげていくやり方を取っています.そのため,積極的に国内外の学会に出向いたり,展示会でブースを出すなどして,直接研究者から要望を探ったりフィードバックを得たりしています.日本国内に関してはウェブサイトやディーラーさんを介した宣伝や販売も可能ですが,海外からはSciFinderのような化学系データベースに載せない限り,新しく問い合わせが来ることはまずありません.海外での知名度を上げて新規顧客を獲得する手段としては,「載せざるを得ない」と言っていいと思います.問い合わせに関してはほぼ毎日来ていますし,誰もが知るような巨大企業から直接注文が入るのは,SciFinderで簡単に弊社の試薬情報が得られるからだと思います.
  • JAICI:その他の理由も教えてください.
  • 渡邉さん:SciFinderの試薬・カタログ情報を検索する場合,取り扱い国やディーラーで絞り込むことができます.また,SciFinderは大学での導入率が高く,企業の方でも「大学時代から慣れ親しんだSciFinderで調べる」という方も多いのではないでしょうか.研究者の方の目に触れる機会が多い点が魅力です.弊社商品のウェブサイトに一つ一つ直接リンクしているので広告効果も大きく,検索画面に会社ロゴを表示できるのも嬉しいですね.
    また,弊社に問い合わせのある商品は,多くがSciFinder上で弊社しか取り扱っていない商品という傾向があります.もし,世界で何十社も取り扱っているような汎用試薬を購入するならば,検索結果から一番安い商品を探すでしょう.ですので,過当競争を避けて,世界でも独自の商品にフォーカスする弊社の方針にマッチしたサービスと言えます.今後も弊社商品がより多くの研究者の目に留まることを期待しています.

    (※) SciFinderのカタログ情報掲載サービス (CHEMCATS) についてはこちらをご覧ください.
  • 光によるタンパク質ラベル化
    SciFinderに掲載された渡辺化学工業様の製品
試薬会社の業務で幅広く活用できるSciFinder
  • 渡邉さん写真
    渡邉さん
  • JAICI:SciFinderはいつ頃からご利用でしょうか.
  • 渡邉さん:私自身は学生時代に触れたのが最初です.当時はまだ日本の地方大学での普及率は高くなかったようですが,留学先のモントリオール大学では当然のように導入していました.使ってすぐに「便利だな」と思い,日本に戻ったら会社にも導入しようと決めていました.弊社のような試薬会社にはあって当然のものだと思っています.それ以前は,学会が発行するフロッピー形式のデータベースを購入していたのですが,検索ワードから論文へのリンクはありませんし,構造式で検索することもできずに不便でした.SciFinderを導入してからは,ベテランの研究者は「楽になった」と言っています.若い社員は既に大学で馴染んできている世代なので,反応が薄いのですが(笑).

  • JAICI:社員の皆さんの普段の業務内容と,SciFinderを活用する場面を教えてください.
  • 石川さん写真
    石川さん
  • 石川さん:総務部では,受注担当者からある原料の販売先を調べるよう頼まれたときや,他社の情報を知りたいときにSciFinderを活用しています.他にも,SDSの作成時などで化合物の物性を調べるのに使っています.総務部の社員は皆が有機化学の専門家というわけではありません.かといって,社内やお客さまとのやり取りの中で齟齬があってはならないので,数字だけで確実に化合物を同定できるCAS登録番号は,構造式や化合物名などよりも扱いやすいです.SciFinderは一つ調べるだけで物性情報も販売情報もすべて網羅していて,オールマイティーなところが気にいっています.
  • 堤さん:私も総務部なので業務内容は似ており,使い方としてはCAS登録番号検索が中心になります.特にカタログの改訂中は毎日のように使っています.また,SDSの危険情報の表記などで誤った情報を提供しては大変ですし,やはり信頼性の高さという観点からCAS登録番号を基にして商品を取り扱っています.他社の商品や他の検索サービスではCAS登録番号が間違っていたり,2つ付いていたりしていて戸惑うことがありますが,CAS登録番号の登録元であるCASのSciFinderの情報は,当然ながら最も信頼できます.
  • 堤さん写真
    堤さん
  • 築城さん写真
    築城さん(左)
  • 築城さん:私は研究開発部門で,普段は試薬の合成をしたり,それを監督したりする立場にあります.新規の合成依頼がきたときにはまずSciFinderで調べて,既存物質ならばその合成法を参考にしますし,新規物質ならば類似反応を調べたりと,利用する場面は非常に多いです.また,新規の商品を上市する際には価格を決めなくてはなりませんが,その合成内容と他社商品の価格を照らし合わせながら参考にする,といった使い方もしています.
  • JAICI:最後に,SciFinderの魅力について教えてください.
  • 渡邉さん:SciFinderは化合物をどうやって作るのか,どこが売っているのか,といった網羅的な情報をシームレスに調べることができます.これは大きなメリットだと思います.一括した価格でサービスをまとめて利用できる点もありがたいです.
  • JAICI:本日はどうもありがとうございました.


社屋の写真
社屋の写真
渡辺化学工業株式会社ロゴ
渡辺化学工業株式会社
所在地:広島県広島市

1845年に薬種商として創業.Reagent for Chemistをモットーに時代のニーズに合った新製品の創製に力を注ぎ続け,現在,ペプチド合成試薬,アミノ酸誘導体の製造・販売を行う.6代目社長の渡邉路維さんは,2007年にモントリオール大学博士研究員より取締役に帰任,2012年に社長に就任.

ウェブサイト
http://www.watanabechem.co.jp/