SciFinder ユーザーインタビュー

2010 年 6 月掲載 

SciFinder に“ない”新たな合成法を生み出す未来への情熱を次の世代に伝えていきたい

写真、山口先生

名古屋大学大学院理学研究科 物質理学専攻化学系助教
化学ポータルサイト「Chem-Station」代表
山口潤一郎先生

直接化学変換による革新的な合成法を開拓

図 ご専門の分野を教えてください

我々の研究室が目指しているのは,誰もが作りたい,欲しいと思う化合物の骨格を,より直接的に,意のままに構築する革新的な方法の開拓です.これまでもさまざまな合成法が研究されてきましたが,まだ,単純な分子変換でさえ相当数の反応プロセスを経なければ達成できない場合が多々あるのが現状です.複雑な化合物を複雑に作るのではなく,できるだけ少ないプロセスで作るための方法論や触媒を研究しています.

写真、山口先生有機化合物の構造式を書くとき,H は反応に関与しないものとして省略することが多いと思いますが,この C- H 結合を活性化し,好きな位置で好きな基と直接変換することができれば,これほど理想的なことはありません.私たちはこれまでに,芳香環炭素- 水素結合を遷移金属触媒を使って直接化学変換し,芳香環同士を結合させることに成功しています.反応させる化合物の性質をよく考え,触媒をうまく設計すれば,今まで多くの段階を要していた変換でも,ダイレクトに行える可能性があると考えています.
例えば,樹皮から発見された抗がん剤で,多くの化学者から全合成研究の対象として注目を集めたタキソールは,合成に40 ステップ近くかかります.これを,レゴを組み立てるようにダイレクトに合成し10 ステップを切ることができる. 夢みたいな話ですがそんな合成法を開発したいですね.