化学情報協会

CAS SciFinder® フォーラム 2025 を開催しました

化学情報協会は、CAS SciFinder 利用者のみなさまを対象に、研究開発を後押しする効果的な情報検索のための強化や、将来の開発に向けての意見交換のため 2025 年 10 月に「CAS SciFinder フォーラム 2025」 を開催しました。

今回の CAS SciFinder フォーラムでいただいた皆様からのご質問やご要望を受けて、今後も日本の皆様の意見を開発元である CAS へ伝達するとともに、CAS SciFinder の有効な利用法の普及に向けて行動していきます。

開催概要

2会場 (東京・大阪) で対面イベントを開催しました!

米国 CAS から開発責任者やカスタマーサクセススペシャリストの責任者が登壇し、CAS SciFinder の直近の強化や今後の開発方針に関する最新情報について発表しました。

 

化学情報協会からは研究開発部門と知財部門の連携強化のために、CAS SciFinder が役立つポイントをご紹介し、CAS SciFinder の契約担当者をはじめ、研究開発・知財の現場でご利用されているユーザーや管理職、大学の関係者など、多くの方にご参加いただき、盛況を収めました。

CAS Vision and Future Outlook (ビデオメッセージ)

はじめに、Manuel Guzman ( President at CAS )より CAS の今後の展望や戦略について、ご紹介しました。

 

CAS は、皆様のニーズを念頭に置きながら、CAS SciFinder の継続的な改善を行っています。高度な AI を統合し、科学的応用に最適化された世界最大の人力でキュレーションされた科学知識のコレクションを活用しています。  

 

CAS の戦略は、ソリューションの高度化を継続的に進めるとともに、科学分野のカバレッジを拡大することにあります。本日体験いただく CAS SciFinder の最新機能に加え、ライフサイエンス分野で革新を進める研究者の皆様へのより良い支援に加え、今後はマテリアルサイエンス分野のカバレッジの拡大も予定しています。

科学情報の発見を加速する CAS の技術革新
AI によって進化する情報探索
 - SearchSense and Retrosynthesis

Jian Wu (Senior Director of Product Management at CAS) は、AI 技術を活用した検索支援や逆合成解析の強化など、研究者のニーズに応える革新的な機能を発表しました。

 

今回の注目ポイントは、AIを活用した検索支援機能「SearchSense」と、AI による回答の要約機能です。SearchSense は、CAS の専門家によってトレーニングされた独自の AI と、信頼性の高い CAS のコンテンツコレクションを組み合わせており、ユーザーの検索意図を的確に理解し、正確かつ網羅的な情報を提供します。

 

今後は、「SearchSense」に “エキスパートモード” が搭載され、より高度な検索操作が可能になる予定です。さらに、研究室のパートナーとして活躍する「AI アシスタント」機能の導入も計画されています。

 

加えて、特許情報の強化やアラート機能の追加など、研究者のワークフローを支援する機能も続々と登場しています。CAS SciFinderは、単なる検索ツールから、研究開発を支える“仮想研究パートナー”へと進化を続けているという力強いメッセージが発信されました。

新しい視点で問いかけてみる
 - CAS SciFinder の AI を活用してより賢く回答を得る

Paul Peters (Director of the Customer Success Specialists at CAS) は、CAS SciFinder に最近搭載された AI 機能の活用事例を紹介しました。

 

今回紹介された機能強化では、AIを活用した検索・解析機能が大幅に進化。文献の自動要約、官能基による絞り込み、自然言語による反応検索、そしてわずか数秒で完了する逆合成解析など、研究者がより迅速かつ的確に情報へアクセスできる環境が整備されています。

 

科学とAIの融合により、従来の検索ツールの枠を超えた新たな研究スタイルが可能となり、研究者の創造性と効率性を大きく引き出す革新が進んでいます。

知財情報検索の強化
 - CAS SciFinder の IP Connections 

Jian Wu (Senior Director of Product Management at CAS) より、研究者でも容易に特許調査を行える「IP Connections」に関する発表がありました。

 

近年、研究者自身が特許情報を直接調査する機会が増加しており、専門的な知識がなくても効率的に検索できるツールへのニーズが高まっています。こうした背景を受けて、CAS SciFinder では、特許調査に不慣れな方でも安心して利用できる「Prior Art Discovery」機能を提供。AI技術を活用し、入力されたテキストや化学構造式に基づいて関連情報を自動的に解析し、最適な回答を迅速に導き出します。

 

これにより、研究者はより短時間で的確な情報にアクセスでき、知的財産の探索がこれまで以上にスムーズに行えるようになりました。

特許情報をピンポイントで探す
 - CAS SciFinder でできる知財探索

Paul Peters (Director of the Customer Success Specialists at CAS) より、CAS SciFinder に特許情報検索における⼤幅な機能強化を活かした検索事例について発表しました。ポイントは次の通りです。

 

Prior Art Discovery:任意のテキストを入力するだけで、AIが関連する先行技術を自動解析

クレームの拡充:CAS SciFinderに収載されている特許の約 90 %においてクレーム情報が取得可能

特許ステータスの明示:Alive(有効)、Dead(失効)、Transitional(移行中)などのステータスを表示

マルクーシュ構造の可視化:複雑な構造式も視覚的に確認でき、構造検索結果の精度が向上

 

CAS SciFinder の進化により、研究者が自ら特許情報を探索するハードルは大きく下がりました。AI による検索支援や構造式の可視化、ステータスの明示など、知財調査の精度と効率が飛躍的に向上しています。今後も、研究と知財の融合が加速する中で、CAS SciFinder はその中心的な役割を担っていくことでしょう。

CAS SciFinder Discovery Platform をもっと活かす
~ すぐに役立つテクニック ~

化学情報協会からは、CAS SciFinder 以外にも CAS SciFinder Discovery Platform で利用できる 3 つのツール ― CAS Analytical Methods、CAS Formulus、CAS Chemical Compliance Index ―について、特長と活用法を紹介しました。

 

それぞれのツールは、分析手法、製剤・配合情報、規制情報に特化しており、CAS SciFinder と連携することで、研究に必要な情報をより効率的に取得できます。共通 IDで簡単にアクセスできる点も魅力です。

東京会場

大阪会場

ネットワーキング & コーヒーブレイク 

CAS SciFinder を深く体験し、CAS とともに日本でサポートを行っている化学情報協会のスタッフを身近に感じていただけるようネットワーキングの時間を設けました。

 

製品デモ用の PC を置いたエリアでは、普段ヘルプデスク業務を行っているテクニカルグループのスタッフが、いただいたご相談について PC を用いてご説明しました。

参加者の声

各セッションに関するコメントから、フォーラムの運営に関する内容まで、多くのご意見が寄せられました。

  • 開発者のお話を直に伺うことができ、CAS SciFinder の進化や将来への期待を実感できました。
  • 現在の CAS SciFinder において、どれだけ AI が活用されているか把握できました。
  • AI 関連の今後の展望がよく分かりました。
  • CAS SciFinder の有用性を確認でき、API での利用の可能性を知ることができました。

CAS SciFinder フォーラムとは

2019 年以降、CAS SciFinder の開発元である CAS と化学情報協会が共同で開催している、日本のユーザー様向けのイベントです。CAS SciFinder の強化内容紹介のほか、CAS 開発担当者が登壇して最新の開発状況を紹介するセッションで構成されており、日本のユーザーが開発元と直接かかわることのできる機会を提供しております。

掲載日 2025 年 10 月 27 日