化学情報協会

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海外技術文献調査の正確さと効率性を支援するJAICI AutoTrans

JAICI AutoTrans ユーザーインタビュー

2022年4月掲載

株式会社ケミクレア

総務人事部 鈴木さん
研究開発センター 森田さん

株式会社ケミクレア 研究開発センターの皆さん(森田さんは前列左から3番目)

有機合成化学分野で培った高度な合成技術で、工業用殺菌剤が主力の化学メーカーとして国内外で確固たる地位を築いてきた株式会社ケミクレアのお二人に、会社の強みや目指すところ、そして研究開発を支援する海外技術文献の調査業務においてJAICI AutoTransをどのように活用されているか伺いました。 

高度な有機合成技術と「出る杭を伸ばしていこう」という社風で社会貢献を目指す

——株式会社ケミクレアの概要や事業内容について教えてください。

鈴木さん:弊社は1955年に千葉県市川市で創業して以来、有機合成技術をコアとして成長してきました。1990年に福島県いわき市小名浜に工場を移転したのち、2012年にはつくば研究所と小名浜研究所を統合し、新たに小名浜事業所内に研究開発センターを設立しました。また、中国に工場を展開した時期がありますが、現在は生産設備は国内回帰させ上海市に隣接する太倉市に商社機能をもつ子会社があります。従業員は120名を超え、うち100名近くが工場に在籍しています。

事業内容は、工業用殺菌剤、医薬品、受託製造事業の3分野に大別されます。中心に据えている工業用殺菌剤事業では、メーカー向けに殺微生物剤原体を製造販売しています。例えば、シャンプーやリンス、パーマ液などの防腐剤、塗料の防腐剤、輸入木材の燻蒸剤、ビール工場のフィルター洗浄剤などに当社の製品が使用されています。医薬品事業では、インフルエンザや骨粗鬆症などの治療に用いられる医薬品の中間体や原薬を製造しており、大手製薬メーカーと取引しています。受託製造事業の例としては、電気機器で使用される樹脂モノマーを受託しています。生活必需品から医薬品まで幅広い製品に弊社の製品が使われています。

鈴木さん(会社ロゴをイメージした藻の装飾前で)

——得意な技術分野や大切にされている理念について教えてください。

鈴木さん:弊社は有機合成技術の中でも臭素系化合物の取り扱いを得意としており、同様の性質を持つ塩素系などのハロゲン化合物の合成へと事業を発展させてきました。企業理念として「欲のみに従わず、理に順った(したがった)心裕な経営」と掲げているとおり、利益を優先して全く異なる分野に手を出すのではなく、強みを活かせる分野を中心に新たな視野を広げていくという経営を創業以来続けています。また、中小企業の強みはニッチな分野への挑戦にあると考えており、弊社の得意とする臭素化、塩素化技術が必要とされる分野において質の高い製品の安定供給に努め、国内外の大手メーカーとも取引ができる体制を整えています。

弊社には、個人の強みを活かして伸ばすために色々な業務にチャレンジしていくことを後押しし、たとえ失敗したとしてもそれを個人の責任とすることのない風土が醸成されています。「出る杭を伸ばしていこう」という社風と言うと分かりやすいでしょうか。

臭素化技術

研究開発の道のりをスタートから伴走する技術文献調査

——研究開発センターの文献調査業務はどのように行われていますか。

森田さん:研究開発センターでは、受託製造事業の初期段階として、お客様からの問い合わせに応じて主に有機化合物の製造・組成・用途に関する文献調査を実施し、実験により受託製造の可能性を検討しています。また、社内の製造部門や品質管理部門への情報提供やトラブルシューティングのための調査も実施しています。

調査対象は、ハロゲン化合物など弊社が得意とする分野はもちろんですが、受託製造の打診があれば分野を問わず広い範囲にわたります。また、事業化に際しては特許侵害予防調査、新規性が見出せれば特許出願前調査など、開発ステージに応じた文献調査を行います。

調査にあたっては、予備検索としてCAS SciFinderⁿ でなるべく新しい特許文献を検索します。特許文献は記載要項が決まっており背景技術や課題などが順序立てて記載されているうえ、大抵は無償で即時に入手できるので、手始めにその分野の案内となるような特許文献を読み込んでから実際の調査に着手します。

研究開発センター

——機械翻訳の活用検討を始めた経緯を教えてください。

森田さん:最近では中国、韓国、インドからの特許出願が非常に増えており、調査対象によっては、日本語はもとより英語の文献も少なく、中国語の特許文献しか見つからないこともあります。そのような場合は欧州特許庁のデータベース「Espacenet」が提供する機械翻訳を利用していましたが、テキストのみの表示であるため、原文中の化学構造式や図表と突き合わせるという煩雑な作業が必要でした。

また、近年は特許出願数も公表される学術論文の数も増え、それらの収集が簡便に行えるようになりました。情報の入手が容易になったことは喜ばしいのですが、相対的に、必要情報の抽出が困難になっています。どの原資料にあたれば必要な情報が得られるかを判断するために、読み込む抄録の数が数百件にもおよぶこともあります。英語の得意不得意にかかわらず抄録を読む作業そのものがボトルネックになっていました。また、読解や入手の難しい文献の確認が後回しになってしまい、重要情報を見落としていたこともありました。

——JAICI AutoTrans導入の経緯を教えてください。

森田さん:手軽に使える機械翻訳サービスがあれば効率的に調査漏れを防げるのではないかと考えていたところ、JAICI AutoTransを知りました。無料トライアルで中国語と韓国語の特許文献を翻訳し最もよかった点は、化合物名の誤りが非常に少なかったことです。長く切れ目が分かりにくい化合物名はときに誤訳を招きますが、JAICI AutoTransの翻訳結果ではそのような誤りがほとんどなく読んでいてストレスを感じませんでした。同僚にも読みやすいと高評価で、サービスの導入を決定しました。

JAICI AutoTransがもたらした漏れのない正確かつ迅速な調査

——JAICI AutoTransの活用法を教えてください。

森田さん:私は、スクリーニングの段階で検索結果を日本語で確認するために、「汎用ワークシート翻訳」をよく利用しています(図1)。CAS SciFinderⁿ の検索結果をExcel形式で出力し、JAICI AutoTransでタイトルと抄録、コンセプトまたはキーワードの3列までを指定すると英文の右側に日本語訳が挿入・表示されます。原文と訳文が左右に並んで表示されるレイアウトなので、訳文に疑問を感じた場合にはすぐに原文を対比確認することができます。

また、「汎用ワークシート翻訳」の訳文から抽出したキーワードをもとにCAS SciFinderⁿ に戻って再検索する、という利用法もあります。 例えば、訳文中で「基材」というキーワードに着目して原文を対比確認すると、原文中では「base material」と「substrate」という2通りの表現がなされていることがわかります。CAS SciFinderⁿ に戻って、「base material」と「substrate」でフィルターをかければ検索結果を絞り込むことができますし、新たに「base material」と「substrate」で再検索すれば、より広範な情報を得ることもできます。

図1「汎用ワークシート翻訳」例。原文と訳文が対比確認でき、Excelの検索機能を使えばキーワード抽出も容易

図2「PatSpread翻訳」例。画像とテキストが原文と同じレイアウトで表示され、化合物名も正確

ユーザー紹介

株式会社ケミクレア

本社
〒103-0004 東京都中央区東日本橋三丁目4-13 VPO東日本橋9階
工場・研究開発センター
〒971-8183 福島県いわき市泉町下川字大剣1-133

1955年創業。社名は創造(Creation)と化学(Chemical)の融和を意味し、化学合成技術を通じて社会の革新的発展へ貢献する意思を表明している。長らく中心事業とする工業用殺菌剤の製造の他、殺菌剤の合成を通じて培われたハロゲン化技術により医薬品原薬中間体の製造事業や受託製造事業も手がける。

小名浜工場

化学情報協会では、海外特許・文献の内容把握や、科学技術・医薬製薬分野の翻訳文書作成を効率化する機械翻訳サービスをご提供しています。JAICI AutoTrans は、海外特許・文献抄録・論文・技術文書などを日本語でスムーズかつ適切に内容把握したい皆さまに活用いただける、JAICI 独自の機械翻訳サービスです。