機能性表示食品のエビデンスを調べてみよう

健康志向が高まる中、スーパーやコンビニで見かける「機能性表示食品」。「脂肪の吸収を抑える」「睡眠の質を改善」など、魅力的な機能をうたっていますが、その信頼性を支えるのは科学的根拠（エビデンス）です。本稿では、機能性表示食品の届出に必要なエビデンス文献を、効率的に調べる方法をご紹介します。

食品表示法と保健機能食品の基本

スーパーやコンビニで手に取った食品、あなたはどこを見ていますか？
賞味期限？カロリー？それとも原材料でしょうか？

実は、私たちが何気なく目にしているこの情報の表示にはルールがあり、食品を販売する際には「食品表示法」に基づいた表示が義務として定められています。

中でも、健康機能を表示できる食品は保健機能食品と呼ばれ、以下の 3 種類があります。

特定保健用食品（トクホ）

国の審査を受け、科学的根拠に基づき、安全性と有効性が消費者庁長官に許可された食品です。

「コレステロールの吸収を抑える」といった特定の効果を記載することができ、トクホマークが付けられているのが特徴です。

栄養機能食品

「ビタミン B6 は、たんぱく質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」といった、科学的根拠が明らかになっている栄養成分の補給・補完を目的とした食品です。表示できる栄養成分は、ビタミンやミネラルなどに限られていますが、国が定めた基準を満たしていれば、個別の許可や届出は不要です。

機能性表示食品

国が認可するトクホとは異なり、事業者が科学的根拠を示し、消費者庁に届出た食品です。

医薬品ではないので、病気の治療や予防を目的とした表示は禁止されていますが、事業者は「本品には○○が含まれ、△△の機能があることが報告されています」のように、科学的根拠に基づく機能性を表示して販売することができます。

トクホよりも手続きが簡単なため、商品数も急増しています。

機能性表示食品の届出に必要なエビデンス

特定保健用食品 (トクホ) とは異なり、機能性表示食品は国が審査を行いませんので、事業者は自らの責任において、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります。必要な届出にはいくつかの様式がありますが、中でも

様式Ⅱ：安全性評価

様式Ⅴ：機能性の科学的根拠

の科学的根拠を探す際に、効率的な文献検索が重要です。

CAS SciFinder での検索事例　「乳酸菌のストレス緩和効果」

ステップ１：有効成分を検索

例：「Lactobacillus」や「Lacticaseibacillus」などの属名を入力。

ステップ２：機能・効果で絞り込み

キーワード例：「stress」「stress relief」「mental health」で絞り込みます。

ステップ３：臨床文献に絞り込む

ステップ２で得られた文献の数が多い場合は、研究レビュー (システマティックレビュー) の作成に必要な臨床試験の文献に限定します。

Concept フィルターで Clinical Trials に限定する (CAplus)

まず、Concept フィルターから Clinical Trial を選択して絞り込んでみましょう。Concept フィルターは CAplus データが対象になります。

Document Type フィルター(MEDLINE)

次に、MEDLINE データから臨床試験の文献を検索します。Concept のフィルターを解除したのちに、Document Type で Clinical Trial を選択します。下図の 136 件が MEDLINE 由来の文献です。

CAplus でも MEDLINE でも Clinical Trials と識別されている文献を優先的にチェックする

ここまで、CAplus 由来の臨床試験文献 38 件、MEDLINE 由来 136 件を別々の集合として作成しましたが、Concept - Clinical Trials と Document Type - Clinical Trial の両方に同時にチェックをいれれば、重複した 21 件を簡単に見つけることができます。実際の調査では、まず、これらの 21 件を優先的に確認するとよいでしょう。