JAICIセミナー:結晶構造情報を創薬に活かす
講演資料
1. 創薬研究における結晶構造情報の活用
再生時間:44分25秒
Q&A
1. 創薬研究における結晶構造情報の活用
Q1:計算で生成した3次元構造をドッキングシミュレーションに用いる場合と比べて、結晶構造由来の分子構造を活用してドッキングシミュレーションを行う場合にはどのような利点がありますか?
A1:ROCK1/2阻害剤の事例では、PDBから抽出した結晶構造を重ね合わせ、重要な相互作用や特徴的な構造を特定してConstraintに加えることでドッキングの成功率が向上しています。このように計算だけでなく結晶構造情報も含めた複数の視点を組み合わせることで、成功確度が向上すると考えられます。
Q2:ドッキングソフトの性能比較のスライド(p.22)で右側のグラフは何を表しているのでしょうか。
A2:3つのドッキングソフトウェア(物理的)と4つの機械学習的手法の比較試験の結果です。
お伝えしたいこととして、機械学習的な手法はRMSDが高いものの、タンパクとリガンドの相互作用を再現できていないことやリガンドの構造そのものが妥当性を欠いていることがあります。それに対し、GOLDはそれらの点もreasonableに再現しており、他の物理的ドッキングと比較しても高い精度を示しています。
Q3:GOLDの共有結合ドッキングに興味があります。結合を形成するアミノ酸残基とリガンドの反応性官能基は自動的に検出されるのでしょうか。
A3:タンパク質のアミノ酸残基はユーザが指定する必要があります。通常は触媒残基などそのタンパク質で鍵となるアミノ酸を指定します。一方、リガンド側は、プログラムに登録されている反応性官能基リストを基に自動的に検出されます。約20種類の官能基が登録されていますが、ユーザが追加することも可能です。
Q4:Fragment Hotspot MapとSuperStarの違いがよくわかりませんでした。SuperStarは「7原子のプローブを用いている」ということですが、どういった利点があるのでしょうか。
A4:Fragment Hotspot Mapは、ある程度の大きさのプローブを用いることにより、タンパク質と衝突するケースを取り除いています。またcavityの奥深くに埋もれたホットスポットに加点がなされるため、より結合ポケットを意識した設計になっています。これに対し、SuperStarはより小さなプローブ(置換基サイズ)のホットスポットを可視化します。タンパク質表面のホットスポットも可視化されるので、PPIを考慮したい時にはこちらを用いるなど「使い分け」するとよいと思います。
Q5:深層生成モデルSTRIFEについての質問です。Fragment Hotspot Mapがどのように使われているか、フォローできませんでした。
A5:STRIFEのFragment growing(p.35)で分子を発生させる際、Fragment Hotspot Mapのファーマコフォアポイントに合わない分子を除外するために使われています。標的タンパク質と相互作用可能な分子のみをセレクトしているので、p.36右の表にあるようにSTRIFEで発生させた分子が好成績となっています。
Q6:紹介された事例をトレースしたいのですが、どのライセンスが必要でしょうか?
A6:前半(p17まで)の事例と、p30のIsoStarを用いた事例は、CSD-Coreのライセンスが必要です。また、後半(p19以降)の事例はCSD-Discoveryのライセンスが必要ですが、GOLDはCSD-Coreへのオプションとしてもご契約いただけますので、p25からp27の事例についてはCSD-Core + GOLDのライセンスでトレースすることが可能です。
2. PROTAC Conformer Generator
Q1:PROTACのリンカーにピロリジンやピペリジンのような環が含まれている場合、環のコンフォーメーションも考慮した複数の配座が発生されるのでしょうか?またその際、窒素原子のプロトネーション状態を指定できるのでしょうか?
A1:はい、環構造に対しても複数の配座を生成します。
その際、Conformer Generatorは、環内の個々の結合に対して配座を発生させるのではなく、環の立体構造をあらかじめデータベースから抽出したring libraryを使うので、速やかに配座群を生成することができます。プロトネートされた含窒素複素環に対しても複数の配座を生成しますが、PROTACの構造を入力した後に、プロトネートされる窒素原子やpHを指定するのではなく、初めからプロトネートされた構造の入力が必要です。
Q2:PROTAC Conformer Generatorに興味があります。構造情報の入力形式はどのようになっていますか。
A2:mol2ファイル形式での入力が基本ですが、PROTACの構造については、SMILES を入力して生成することも可能です。
標的タンパク質や E3 の複合体構造は、PDBに登録されているものであれば、PDBコードの入力でも構いません。また、これらは必ずしも結晶構造である必要はなく、3D未知の分子やドッキングで得られたモデルを用いても問題ありません。
Q3:発生させるコンフォーマーは、5000個がスタンダードですか。
A3:コンフォーマーの数は、ユーザが指定することができます。
論文中でも生成するコンフォーマーを1000個に減らす検討がなされ、平均 lig_RMSD が0.1 Å程度増加するだけで精度の大きな低下は見られなかったので、減らしてもよいと思います。
Q4:PROTAC Conformer Generatorを使ってみたいのですが、Conformer Generatorは単独で契約できますか。
A4:申し訳ございませんが、できません。
Conformer Generatorは、Mogulのデータを使うため、CSD-Core + Conformer Generatorの契約が必要となります。また、Conformer GeneratorはCSD-Discoveryにも付属しています。
